高橋まつりさん過労死から10年|悲劇の真相と電通の現在を追う

高橋まつりさん過労死から10年|悲劇の真相と電通の現在を追う

高橋まつりさん過労死から10年|悲劇の真相と電通の現在を追うに関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。

高橋まつりさんの事件を受けて、東京地検は2017年に電通を労働基準法違反の罪で略式起訴(のちに正式裁判へ移行)し、有罪判決が下されました。経営トップの引責辞任にまで発展したこの未曾有の危機に対し、電通は「労働環境改革本部」を立ち上げ、社内制度の抜本的見直しに着手しました。

具体的な施策として、夜22時の全館一斉消灯、深夜勤務の原則禁止、PCの自動シャットダウン、11時間のインターバルを確保する勤務間インターバル制度の導入などが矢継ぎ早に打ち出されました。オフィス環境の監視カメラによる滞留管理や、コンプライアンス意識の徹底など、ハード面での改革は厳格に進められました。

では、現在の電通の労働環境はどう変化したのでしょうか。社員口コミサイトや業界関係者の証言を総合すると、以前のような「徹夜が美徳とされる体育会系の猛烈カルチャー」は確実に是正されています。有給休暇の取得率向上やリモートワークの定着、残業時間の大幅な圧縮など、法令遵守の意識は業界内でもトップクラスに引き上げられました。

一方で、現場のクリエイターや営業担当者からは「納期やクライアントの要求水準が変わらないまま労働時間だけが締め付けられ、業務密度の過密化が進んでいる」「社外や自宅での隠れ残業に繋がらないか絶えず警戒が必要」といったシビアな声も聞かれます。表面的な勤怠管理の厳格化だけでなく、業務そのものの再配分とクライアントとの商慣行の改革が、現在もなお続く本質的な課題です。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。