英語圏のスラングにおいて、「roll」および「rolling」は極めて出現頻度が高い多義語です。ネイティブスピーカーがこの言葉を使う際、根底にあるのは「回転する」「波のように押し寄せる」「動き続ける」という流動的なコア・イメージです。
ネットカルチャーにおいては、かつてテキストチャットで頻用されたネットスラング「ROFL(Rolling on the floor laughing=床の上を転げ回って笑う)」が口語や短文SNSに溶け込み、単に「I'm rolling」と言うだけで「ツボに入って息ができないほど笑っている」という情景を想起させる記号として定着しました。
しかし、同じ単語がナイトクラブや音楽フェスティバルの空間に持ち込まれると、意味合いは180度反転します。1980年代後半のレイヴカルチャー以降、MDMAなどの多幸感をもたらすドラッグの効果が「波(Waves)のように押し寄せて体を揺らす」感覚から、薬物による陶酔状態そのものを「rolling」と呼ぶ強固なサブカルチャー文脈が形成されてきた背景があります。