企業がこれほど批判を浴びてもブラインド形式に固執する最大の理由は、「製造ロットの効率化」と「在庫リスクの完全消去」にあります。多人数グループのアイドルや、登場キャラクターが数十人に及ぶアニメ作品では、メンバー間で人気に大きな格差が生じるのが避けられません。通常販売を行えば、人気上位のキャラは即完売する一方、需要の低いキャラは大量に売れ残り、最終的に赤字を垂れ流すことになります。
しかし、中身を隠したブラインド商品にすれば、すべてのキャラクターを均等な比率で生産し、箱単位(BOX)でファンに売りつけることができます。メーカー側からすれば、在庫リスクをゼロに抑えつつ、1人のファンに同じ商品を何十個も買わせることで、客単価を人工的に最大化できる魔法の杖なのです。
さらにこの過熱に拍車をかけているのが、メルカリをはじめとする二次流通プラットフォームの存在です。目当て以外のキャラを引いてしまったファンは、損失を少しでも補填するために即座にフリマアプリへ出品します。一方、ランダムで爆死することを恐れるファンは、定価以上のプレミアム価格がついていてもフリマアプリで「推し」を一本釣りしようと試みます。
その結果、人気キャラには定価の5倍から10倍ものプレ値がつき、それを狙った転売ヤーがイベント会場やオンラインショップでロット買いを敢行するという最悪の循環が完成しました。「公式がランダムで売り、弾かれたファンがメルカリで回収し、転売ヤーが利ざやを抜く」という歪なエコシステムが、グッズ界隈の疲弊を加速させています。