2018年12月、中野坂上の青梅街道沿いにオープンした「うん間違いないっ!中野坂上店」。ガラス張りのモダンな工房から漂うバターの芳香と、ショッキングピンクや派手な書体をあしらった紙袋は、瞬く間にSNS時代の象徴となりました。その後、戸越銀座や練馬、さらにはFC(フランチャイズ)展開によって各地へ店舗を拡大したものの、現在その勢力図は大きく様変わりしています。
2022年頃から目立ち始めた高級食パン専門店の閉店ラッシュは、同ブランドにも直撃しました。オープン当初は「午前中で当日分が完売」「整理券を求めて早朝から待機」という熱狂が日常茶飯事でしたが、ブームの沈静化とともに客足は落ち着きを見せ、賃料負担の重いロードサイド店やターミナル駅至近の店舗から順次、契約満了に伴う撤退や閉店の決断が下されました。帝国データバンクの産業動向調査を振り返っても、2022年から2024年にかけてパン製造小売業の倒産・休廃業件数は過去最多ペースを記録しており、業界全体が激動のスクラップ&ビルドに突入していたことが裏付けられています。
2026年時点における現在の店舗状況を整理すると、多店舗展開のピちは完全に収束し、原点である中野坂上店などを軸とした「地域密着型・機能集約型」の営業形態へと移行しています。かつてのように1斤・2斤のプレーン食パンだけを山積みにして売るスタイルから脱却し、イートインスペースの併設やテイクアウト向け総菜パン、カフェメニューの拡充など、日常使いのベーカリーへと業態のマイナーチェンジを完了させたごく一部の拠点が生き残りを図っています。