検索エンジンで「東京農業大学」と入力すると、候補欄に「評判 やばい」「Fラン」といったネガティブな語句が浮上します。進路選択を控えた高校生や保護者が思わず身構えてしまう現象ですが、結論から言えば、教育内容が破綻しているという意味での「やばい」や、誰でも入れるボーダーフリーを意味する「Fラン」という言説は、完全な事実誤認です。
では、なぜこのような不穏なラベリングが横行するのでしょうか。背景には、日本の大学受験界特有の「偏差値至上主義」と「キャンパス分散構造」が生み出す歪みがあります。東京農大は世田谷(東京)、厚木(神奈川)、オホーツク(北海道)の3拠点に展開しており、地方キャンパスの一部学科において見かけの入試偏差値が低めに出る傾向があります。この局所的な数値を切り取ったまとめサイトやSNSの投稿が一人歩きし、大学全体が低水準であるかのような虚像を定着させてしまったのです。
さらに「やばい」という言葉の裏には、ポジティブな意味での「専門性が突き抜けていて規格外」という現場の熱量に対する畏怖も混ざり合っています。発酵醸造の第一線で活躍する教授陣、学生が開発に深く関わる食品プロジェクト、そして箱根駅伝中継で見られる強烈な愛校心など、他大学にはない濃密なカルチャーが、外部から見て「異質=やばい」と捉えられているのが実情です。