ゴルゴ線は、目頭の下あたりから頬の中央を斜めに横切って刻まれるくぼみを指します。通常のシワのように「皮膚の表面が乾燥して折れ曲がっている」わけではなく、皮膚の深部にある構造が表面に影を落としている状態です。
笑ったときにこの線が特に強調される最大の理由は、頬の皮膚と骨をつなぐ「リガメント(靭帯)」の引き込みにあります。笑顔を作ると、大頬骨筋などの表情筋が収縮して頬の脂肪(メーラーファット)がグッと上方に持ち上がります。しかし、骨にしっかりと固定されているリガメントの部分だけは上へ移動できず、その場に留まり続けます。その結果、持ち上がった脂肪の山と、強く引っ張られて沈み込む靭帯の間に深い高低差が生まれ、斜めの溝として浮き彫りになってしまうのです。
さらに、加齢や筋力低下によって頬の脂肪下垂が進んでいると、脂肪の雪崩が靭帯の上に乗っかる形になり、笑ったときの段差がより一層深くなります。「無表情なら気にならないのに、笑顔を作ると線が走る」という現象は、まさにこの物理的な組織の押し引きによって生じています。