行動経済学には「現在バイアス」という概念があります。人間は「将来得られる大きな利益」よりも「今目の前にある小さな誘惑や消費」を過大評価してしまう心理的傾向を指します。いつでも引き出せる預金や新NISAでは、車の買い替えや旅行などの名目で資金を取り崩してしまうリスクが常に付きまといます。
個人年金保険の最大の価値は、この現在バイアスを断ち切り、強制的に未来へ資金を送り届ける「心理的バウンダリー(境界線)」を築ける点にあります。これらを踏まえた明確な判断基準は以下の通りです。
【個人年金保険の加入をおすすめできる人】
- 所得税や住民税を納めており、個人年金保険料控除の枠が完全に空いている会社員・公務員
- 投資信託の価格変動が怖くて夜も眠れず、元本確保型の確実な貯蓄を好む人
- 意志が弱く、口座にお金があると使ってしまうため、強制的な天引き貯蓄が必要な人
- 老後の基礎生活費として、市場環境に左右されない確定キャッシュフローを確保したい人
【個人年金保険への加入を見送るべき人・慎重になるべき人】
- 住宅購入や結婚など、5〜10年以内に使う予定のある生活防衛資金がまだ貯まっていない人
- すでにiDeCoを満額利用しており、これ以上の資金ロックに家計が耐えられない人
- 専業主婦(夫)や無職など、所得税・住民税を納めておらず控除メリットを享受できない人
- インフレに負けない高利回りを狙い、資産形成のすべてを保険商品に頼ろうとしている人