3月に入ると、日差しには確かな春の温もりを感じる一方で、油断したタイミングで厳しい寒さがぶり返します。この時期に「何を着るべきか分からない」と多くの人が頭を抱える最大の要因は、1日の中の朝晩と昼の気温差(日較差)の大きさ、そして数日単位で季節が数か月逆戻りする激しい乱高下にあります。
この激しいアップダウンの背景にあるのが、シベリア高気圧の衰退と移動性高気圧・低気圧の交互通過です。晩冬から初春にかけては、日本付近を低気圧と高気圧が3〜4日周期で西から東へと通り抜けます。低気圧が接近する局面では南から暖かい空気が吹き込んで気温が一気に4月下旬並みまで跳ね上がりますが、低気圧が通過した直後には北寄りの冷たい風が吹き返します。これがいわゆる「三寒四温」の仕組みです。
さらに厄介なのが突発的な「寒の戻り」です。北極周辺に蓄積された強力な寒冷渦(寒気の塊)が日本上空へ一時的に南下すると、前日比で最高気温が10℃以上も急降下することが珍しくありません。体感温度は風速1m/sごとに約1℃下がるとされており、日差しに惑わされて薄手の上着を選んでしまうと、体温を急速に奪われる危険性があります。