すだれ算を習得した学習者が最も激しくつまずくポイントが、数が3つに増えた場面です。結論から述べると、最小公倍数3つの数の求め方には、2つの数のときには存在しない「特殊ルール」が発動します。この罠を知らないまま解き進めると、確実に誤答へ誘導されます。
例として「12、18、20」の最小公倍数を考えてみましょう。最大公約数を求める場合、3つの数すべてを同時に割り切れる数でしか割ることができません。しかし、最小公倍数を求めるときは、「2つの数だけでも割り切れる共通の約数があれば、割って進めなければならない」という決定的な規則が存在します。
具体的な手順は以下の通りです。
- まず3数(12, 18, 20)すべてを割れる「2」で割る → 下段は「6, 9, 10」になる。
- 「6, 9, 10」の3つを同時に割れる約数は「1」以外に存在しない。だがここで止めてはいけない。
- 6と10に着目し、2数だけを割れる「2」で割る。このとき、割り切れない「9」はそのまま真下へ下ろす → 下段は「3, 9, 5」になる。
- 次に3と9に着目し、2数を割れる「3」で割る。割り切れない「5」はそのまま下ろす → 下段は「1, 3, 5」になる。
- どの2つの組み合わせをとっても共通の約数がなくなった(すべて互いに素になった)時点で終了。
- 左側に並んだ数(2, 2, 3)と、最下段に残った数(1, 3, 5)をすべて掛け合わせる。
【計算式】:2 × 2 × 3 × 1 × 3 × 5 = 180
この「割れない数はそのまま下ろす」という工程を飛ばしてしまうと、誤った積を導き出します。教育現場のデータでも、3つの数の最小公倍数における失点の約8割がこの「下ろし忘れ」や「2数割りの中断」に起因しています。
さらに、2つの数の場合に限って威力を発揮する最小公倍数を一瞬で求める裏ワザ公式が存在します。それは以下の関係式です。
【裏ワザ公式】:(数A × 数B)÷ 最大公約数 = 最小公倍数
例えば「16と24」の場合、最大公約数が「8」だと即座に分かれば、「(16 × 24)÷ 8」を計算します。先に「16 ÷ 8 = 2」と約分すれば、「2 × 24 = 48」と紙に筆算を書くまでもなく数秒で導出可能です。ただし注意点として、この掛け算裏ワザ公式は3つの数にはそのまま適用できません(3つの積を最大公約数で割っても最小公倍数にはならない)。3数の場合は前述のすだれ算、あるいは後述の素因数分解を活用するのが確実な道筋です。