ネット上のQ&Aコミュニティなどでは、「霧吹きだけで育てられますか?」という質問が頻繁に見受けられます。これに対する園芸専門家の答えは「霧吹きだけでは絶対に芯まで保水できないが、補助としては不可欠」というものです。
一般的な維管束植物と異なり、苔には根から水を吸い上げて全身に巡らせる高度な導管がありません。仮根と呼ばれる微小な繊維は主に身体を固定するためのものであり、水分や養分は体表面(葉や茎)から直接吸収する特性を持っています。そのため、大気中の乾燥を防ぎ、瑞々しいエメラルドグリーンを維持する上で苔玉霧吹きの効果は絶大です。
効果的な吹き方には明確な基準が存在します。至近距離から水滴を強く吹き付けると苔の組織を痛める恐れがあるため、斜め45度の上方から20〜30cmほど離し、細かな霧がふわっと自然落下して苔全体を包み込むように散布するのが理想です。頻度はエアコンが稼働している室内であれば1日1〜2回が推奨されます。
ただし、過剰な湿気と停滞した空気は胞子の温床となります。とくに湿度が高まりやすい梅雨時や無風の室内では、苔玉カビ対策と予防が欠かせません。水やり後に白っぽいカビが付着しているのを発見した場合は、すぐに綿棒やピンセットで取り除き、希釈した木酢液やベンレート水和剤などを極少量塗布します。何よりの予防策は、超微風でサーキュレーターを稼働させ、土玉の周囲の空気を常に循環させておくことです。