福島市の円盤餃子を語る上で避けて通れないのが、歴史の原点である「満腹(まんぷく)」と、全国的な知名度を牽引する「照井(てるい)」という二大巨頭の存在です。旅行者の間でも「結局どちらへ行くべきなのか」という議論が常に巻き起こっていますが、結論から言えば両者の餃子は製法も食感も全く異なる別物です。
創業70年以上の歴史を誇る「元祖円盤餃子 満腹」は、創業当時の手ごね・手包みの技法を現在も頑なに守り続けています。皮はその日の気温や湿度に合わせて粉を配合し、注文を受けてから職人が延ばして餡を包みます。ラードを使って香ばしく焼き上げられた餃子は、底面がカリッと小気味よい音を立てる一方で、ヒダの部分には手延べ皮特有のモチモチとした弾力が残ります。白菜主体の餡は口に入れた瞬間にふわりと広がる甘みが特徴で、創業以来継ぎ足される自家製ダレがその輪郭を際立たせます。なお、元祖円盤餃子 満腹の予約事情に関しては、基本的に夜の混雑時間帯は席予約不可または厳しい条件が設けられており、当日仕込んだ皮がなくなり次第閉店となるため、確実を期すなら開店前の早い段階で並ぶ覚悟が求められます。
対する「餃子の照井」は、飯坂温泉の路地裏で創業し、現在では福島駅ビル内にも店舗を構える屈指の行列店です。照井の代名詞は、薄皮を用いた「揚げ焼き」スタイルにあります。フライパンに多めの油を注ぎ、強火で一気に揚げるように焼き上げることで、皮全体がまるでスナック菓子のようにサクサク・クリスピーな食感に仕上がります。餡には福島県産のキャベツと厳選された豚前脚肉が使われ、幾度も試作を重ねて生み出された秘伝のタレと自家製ラー油が絡み合います。人気に伴い、餃子の照井の待ち時間は休日の福島駅東口店で2時間を超えることも珍しくありません。店頭の発券機による順番待ちシステムが導入されているものの、新幹線の時間を計算に入れて旅程を組む必要があります。