白内障手術そのものの成功率は非常に高く、感染症や破嚢(はのう)といった重篤な医学的トラブルが起きる失敗確率は1%未満とされています。つまり、「手術自体は成功しているのに、患者本人は不満を感じて後悔している」という状態が頻発しているのが現状です。
保険診療で広く用いられる単焦点レンズは、ピントを「遠方」または「近方」の1点に絞る設計です。ピントが合っている距離に関しては光のロスが一切ないため、非常にクリアでコントラストの高い視界が得られます。遠くに合わせれば運転は裸眼で快適ですが、読書には老眼鏡が必須となります。
一方、3焦点レンズをはじめとする多焦点タイプは、眼鏡への依存度を70〜90%程度まで減らせる利便性がある反面、どの距離も単焦点レンズほどの切れ味ある鮮明さには届きません。近年登場した焦点深度拡張型(EDOF)レンズなどはハロー・グレアを軽減させていますが、それでも「すべての距離が10代の頃のように完璧に見える」わけではないという事実を理解しておく必要があります。