調理現場やネットレシピのコメント欄で頻繁に混乱を引き起こしているのが、「把(わ)」「束(たば)」「袋(ふくろ)」という助数詞の混同です。
本来の伝統的な青果取引において、「ほうれん草1束の重さ」や「1把」は藁や紐で結束された生野菜の単位を指していました。昭和中期頃までの八百屋では、紐で束ねられたほうれん草は250g〜300g前後と現在よりも重量感のある単位として流通していた歴史があります。しかし現代のスーパーではプラスチック包装(OPP袋)が標準化され、「1束=1袋=約200g(近年は150gも混在)」と実質同一視されるようになりました。
ネット上の情報で散見される「1束=100g」という記述は、小松菜の一部小分けパックやニラ(通常1束=100g)の規格と混同された明確な誤解です。ほうれん草を1束100gと勘違いしてレシピの調味料を合わせてしまうと、醤油や塩が勝ちすぎて塩辛い仕上がりになってしまいます。レシピ本で「1束」と記載されている場合は、原則として「生重量で約200g」を想定してタレや合わせ調味料が設計されていると認識するのが料理の定石です。