東京・下町エリアや大阪の鶴橋をはじめとする激戦区の内臓肉専門店を取材すると、近年の消費者の嗜好には明らかな変化が見られます。
創業40年を超える東京・立石のもつ焼き専門店のベテラン職人は、仕込みの手を止めずに次のように現場の実態を語ります。
「昭和の時代は豚のシロやレバーを甘辛い濃いタレで焼き、焼酎ハイボールで流し込むスタイルが定番でした。しかしここ数年は、肉質の良いカシラ(こめかみ)やハツをシンプルに塩やワサビ醤油で楽しむ若い世代や女性客が目に見えて増えています。内臓肉の鮮度管理技術が飛躍的に向上し、屠畜から数時間以内のチルド配送が徹底されたことで、独特の臭みを感じさせない仕入れが当たり前になった影響は大きいです」
SNSや大手質問投稿サイトに寄せられるリアルな声を分析すると、「牛ホルモンの脂の甘みは好きだが、年齢とともに胃もたれするようになった」「豚もつ煮込みは好きだが、家庭で作ると臭みが抜けきらない」という切実な悩みが浮き彫りになっています。内臓肉を美味しく味わうための分水嶺は、素材の選び方と適切な下処理の有無に直結しているのです。