日本対がん協会の報告でも示されている通り、大腸がんの最大の特徴は「極めて早期の段階では自覚症状がほぼ存在しない」という点です。したがって、便が目に見えて細くなったり、激しい腹痛が現れたりした段階では、すでに病変が一定の大きさに達している可能性も否定できません。だからこそ、大腸がん早期発見の兆候をわずかな段階で捉える視点が求められます。
注意すべき大腸がん初期症状のリストには、便の太さの変化以外に以下の徴候が含まれます。
- 残便感の頻発:直腸付近に腫瘍が存在すると、神経が刺激されて「排便した直後なのにまだ便が残っている」感覚が消えなくなります。
- 頑固な便秘と下痢の繰り返し:腫瘍によって腸の内腔が狭くなると、固形便が出にくくなり、水分だけが無理やりすり抜けて下痢状となって排出されます。
- 原因不明の貧血・立ちくらみ:腫瘍表面からの微量な持続出血により、鉄欠乏性貧血を起こして初めてがんが見つかる事例は後を絶ちません。
さらに危険なのが、血便見分け方における自己判断の罠です。排便時に血が出た際、「鮮やかな赤色だから痔に違いない」と勝手に決め込んで受診を見送る人が非常に多く見られます。しかし、直腸がんが肛門のごく近傍に発生した場合、便に付着する血液は酸化されず、痔と全く同じ真っ赤な鮮血として現れます。「痔の持病があるから」と放置していた結果、進行がんの発見が数か月単位で遅れてしまったという臨床例は、消化器内科の現場で日常茶飯事のように報告されています。