感情のコントロールができないのは性格か病気か?激昂の正体と受診目安

感情のコントロールができないのは性格か病気か?激昂の正体と受診目安

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「さっきまで穏やかに話していたのに、些細な一言で人格が変わったように怒り狂う」「怒りの最中は頭に血が上り、相手を傷つける言葉を放つのを止められない」――精神科の外来には、自身の激しい気分の乱高下に苦しみ、人間関係や職場での信用を失いかけた当事者が後を絶ちません。 感情のコントロールができない障害の理由を紐解く上で、現代の精神神経医学が到達している明確な知見は、「情動を制御する脳の物理的な配線(神経回路)の機能低下」という事実です。 人間の脳では、危険や刺激を察知して恐怖や怒りのアラームを鳴らす「扁桃体」と、その興奮を客観的に観察してブレーキをかける前頭葉の「前頭前野背外側部」や「眼窩前頭皮質」がシーソーのようにバランスを取り合っています。健常な状態であれば、扁桃体が過剰に反応しても、前頭前野が「いま怒鳴るのは不適切だ」「相手に悪気はない」と冷静な評価を下し、興奮を鎮静化させます。 しかし、特定の精神疾患や発達障害を抱えている場合、このブレーキシステムそのものに物理的な機能不全が生じています。ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質の分泌やトランスポーターの働きに異常が生じているため、意志の力で踏み込もうとしてもブレーキペダルがスカスカと空回りしてしまうのです。本人がいくら「怒ってはいけない」と頭で理解していても、神経回路のレベルで情動の奔流を遮断することができません。 衝動性や癇癪が大人になってから突如として問題化する経緯を追うと、多くは小児期から思春期にかけて「変わった子」「怒りっぽい性格」で見過ごされ、就職や結婚、昇進といった環境変化によって認知的負荷がキャパシティを超えた瞬間に顕在化します。家庭内でのモラハラや職場でのパワハラとして表面化し、周囲を深く傷つけると同時に、当事者自身も爆発が収まった後に「なぜあんなことを言ったのか」と深い絶望感と自己否定に苛まれる悪循環に陥っています。

山田 真由
著者

山田 真由

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