家庭焼きのもなかが「湿気たクッキー」のようになってしまう最大の原因は、生地内部に残存する自由水(結合していない水分)です。プロの現場データと調理科学の知見を照らし合わせると、家庭の熱源で完全な脱水と気化膨張を達成するには、以下の2つの裏技が決定打となります。
第1の裏技は、「二段低温ドライベイク」です。一度フライパンやオーブンで全体に火を通したあと、すぐには完成とせず、網の上で粗熱を3分ほど取ってから、100℃〜110℃に設定したオーブン(または余熱を切ったオーブントースター)でさらに5分間乾燥焼きを行います。この二段階加熱によって、でんぷんの骨格を崩すことなく、中心部に潜む微量な水分を限界まで追い出すことが可能になります。
第2の裏技は、「焼き上がり直後の強制急速冷却」です。焼き上がった熱々の最中種を湿気のこもる平皿に放置すると、自らが放出した蒸気を吸って表面がふやけてしまいます。取り出したら即座にケーキクーラーなどの通気性の良い網の上に並べ、うちわやドライヤーの冷風を10秒ほど当てて一気に熱を奪うことで、表面のガラス転移(硬化)を促進させ、劇的なクリスピー感を生み出します。