パルプモールドの普及において長年最大の壁とされてきたのが「コスト」と「機能性の制限」であった。大量生産された安価なプラスチック製品に対して単価面で劣るケースが多く、また水分や油分を含んだ食品、薬品などへの適応には限界があるとされてきた。しかし、ここ数年の材料科学の急速な発展が、この限界を打ち破りつつある。
特に画期的なのが、環境保護の観点から世界的に使用が禁止されつつあるPFAS(有機フッ素化合物)を使用しない「完全フッ素フリー」の耐水・耐油表面コーティング技術の確立だ。植物由来の天然セルロースナノファイバーやバイオマス系樹脂を応用した新技術により、従来のプラスチック同等の耐油・耐水性能を持たせつつ、使用後の100%堆肥化(コンポスト化)を可能にした。さらに、自動化ラインの導入や大型高速成形機の普及によって製造効率が飛躍的に向上し、プラスチック製品とのコスト差は急速に縮小している。