日比谷線脱線事故の真相と富久信介さん|17歳の命が変えた鉄道安全

日比谷線脱線事故の真相と富久信介さん|17歳の命が変えた鉄道安全

日比谷線脱線事故の真相と富久信介さん|17歳の命が変えた鉄道安全を徹底追究! 知っておきたい 重要ポイントを分かりやすく展開します。

事故の調査が進むにつれ、物理的な脱線そのもの以上に「なぜ脱線がこれほどの大惨事に発展してしまったのか」という点に世論の批判が集まりました。その核心にあったのが、脱線した車輪の逸脱を食い止める「護輪軌条(脱線防止ガードレール)」の未設置です。

現場は半径160メートルという極めて厳しい急カーブであったにもかかわらず、当時の運輸省令や営団の社内規定では、半径140メートル以下の曲線にのみ護輪軌条の設置が義務付けられていました。わずか20メートルの規定差によってガードレールが設置されておらず、脱線した車両はそのまま対向線へ飛び出してしまったのです。

刑事責任をめぐる捜査では、当時の営団幹部ら関係者について「複合要因によるせり上がり脱線の予見可能性は極めて低かった」として不起訴処分(嫌疑不十分)となりました。しかし、遺族が起こした民事裁判などを通じて、鉄道会社が担うべき安全配慮義務の重さが浮き彫りになり、営団側も責任を認めて和解に至りました。

この結果を受け、国土交通省は半径200メートル以下の急曲線やすれ違いのある主要区間すべてに護輪軌条の設置を義務付けるという大幅な基準改定に踏み切りました。技術的盲点に潜むリスクを法制化によって塞ぐ転換点となったのです。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。