音楽史的な観点から言えば、1965年に公開された『エレキの若大将』は絶対に見逃せない金字塔だ。当時、欧米から押し寄せていたベンチャーズやザ・ビートルズに代表されるエレキブーム。これを映画のメインテーマとして大胆に取り入れ、モズライト・ギターを抱えて疾走する主人公の姿は、全国の若者を一瞬で熱狂させた。
当時の日本音楽界において、エレキギターは一部の大人層から偏見の目を向けられることも少なくなかった。しかし、本作はそのネガティブなイメージを爽やかな青春のエネルギーへと見事にかき消してみせた。劇中で披露された名曲「君といつまでも」は、従来の歌謡曲の枠組みを遥かに超えたポップスとしての感性を日本中に提示し、レコード売上300万枚を超える歴史的大ヒットを記録。自ら「弾厚作」の名義で作曲を手がけたメロディラインと洗練されたコード進行は、後のJ-POPの礎を築いたと言っても過言ではない。