なぜここまで未婚化が進んだのか。社会学者の山田昌弘教授は、長年にわたり日本の家族構造と経済環境の変化を分析してきた。山田教授が指摘するのは、日本型雇用慣行の動揺と「リスク回避志向」の強まりである。かつて終身雇有と年功序列が担保されていた時代、結婚は生活の安定を意味していた。しかし、雇用環境が不透明化した現在では、結婚や子育てが「解消できない長期的な経済リスク」として捉えられるケースが増えている。
若者たちの本音は切実だ。自分の生活を維持するだけで精一杯な状況下で、他人の人生や将来生まれる子供の生活まで背負う決断を下すのは極めて難しい。親世代が享受していた「標準的な家庭生活」のハードルが高くなりすぎた結果、多くの若者が意図的に、あるいは結果として結婚という選択肢を手放している。所得格差の拡大と将来不安が、若者たちの背中を強烈に押し押し戻しているのだ。