日本の防衛政策の根幹を長年なしてきたのが専守防衛の原則であり、その法理的根拠が日本国憲法第9条だ。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が容認されたとはいえ、先制攻撃を徹底して禁じる法制度上の制約は依然として固く維持されている。相手から第一撃を受けた後にしか本格的な反撃を行えないという構造的制約は、超音速ミサイルや飽和攻撃が主流となる現代戦において致命的なハンディキャップとなりかねない。
有事の際、首相による防衛出動命令のタイミングや法制上の手続きの遅れが、現場の防衛行動を縛る懸念も根強い。抑止力を高めるための法改正や運用見直しと、憲法上の制約との間でどのような折り合いをつけるのか。政治の強い決断が試されている。