この地が屈指の銘柄産地となった背景には、独特の地形と歴史が深く関わっている。戦国時代、武田勝頼が最後の拠点として築城した新府城跡の周辺は、現在「新府桃源郷」として春には一面のピンク色に染まる名所だ。八ヶ岳の火山灰土と茅ヶ岳から広がる傾斜地は水はけが抜群で、桃の根が地中深く呼吸できる理想的な土壌環境を形作っている。
さらに、年間日照時間の長さと南アルプスから吹き下ろす夜の冷風が、果実の中に豊かな糖分を閉じ込める。武田勝頼が選んだ要衝の地は、数百年の時を経て、類まれな果実を育む奇跡の大地へと昇華した。