長年愛されてきたシステムがなぜ葬り去られたのか。そのサイドアウト制廃止理由の核心は、メディア環境の劇的な変化と商業スポーツ化の波にありました。
1980年代後半から1990年代にかけて、バレーボールはオリンピックや世界選手権、ワールドカップを中心に巨大なキラーコンテンツへと成長しました。しかし、そこで致命的な壁となったのがテレビ中継枠と試合時間のコントロール不能な乖離です。
サイドアウト制の時代、1セットにかかる時間は完全に未知数でした。ストレートで終われば1時間強で終了する一方、フルセットに突入するとバレーボールフルセット長時間化が極限まで達し、試合時間が3時間、ときには3時間半を超えることも珍しくありませんでした。地上波のゴールデンタイムに生中継枠を確保していたテレビ局では、後続の看板ニュース番組やドラマの放送枠が次々と繰り下げられ、編成が壊滅的な打撃を受けたのです。最悪の場合、試合のクライマックスである第5セットの途中で中継が強制終了し、視聴者から抗議の電話が殺到する事態が世界各地で繰り返されました。
放映権料やスポンサーマネーによって競技運営を成り立たせたい国際バレーボール連盟(FIVB)にとって、「試合終了時間がまったく予測できない競技」は放送局から敬遠される最大の商業的リスクでした。さらに、終わりの見えない膠着状態で極度の肉体的・精神的プレッシャーに晒され続ける選手たちの疲労骨折や故障の頻発も、国際的な問題視を加速させました。こうした複合的な要因から、試合時間短縮の理由は単なる効率化を超え、バレーボールという競技がプロスポーツとして生き残るための「至上命題」となったのです。