家族が突然行方不明になった際、警察に届け出れば「すぐに携帯の電波を追跡して見つけてくれる」と思われがちですが、ここにも制度上の大きな壁が存在します。
警察庁が定める行方不明者発見活動に関する規則において、行方不明者は「一般行方不明者」と「特異行方不明者」の2種類に明確に区分されています。
自らの意思で家を出た成人(単なる家出、借金からの逃避、痴情のもつれなど)は一般行方不明者として扱われ、警察が通信キャリアに対して緊急の基地局測位や位置情報の開示を請求することはありません。警察署での届出を受理し、全国の警察データベースに登録するにとどまります。
一方で、遺書が残されている場合、自傷他害の恐れがある精神状態、犯罪被害に巻き込まれている可能性が高い場合、あるいは未成年者や認知症高齢者の失踪は「特異行方不明者」に指定されます。この指定が下りて初めて、警察による携帯電波捜索が通信キャリアへの令状請求・緊急要請を通じて実施され、接続中の基地局エリア(半径数百メートルから数キロ)が特定されます。
家出人捜索携帯GPSの活用を検討する段階で、生命の危険が少しでもあるならば、自力でスマホを探そうと時間を空費するのではなく、直ちに最寄りの警察署で特異行方不明者としての届出を行い、同時に携帯キャリアの契約者名義人から位置検索サポートを要請することが最優先事項となります。