演習場の存在は国防に不可欠である一方、地域住民が被る受忍限度を超えた生活負荷に対しては、法に基づく各種の防衛施設周辺対策が講じられています。
東北防衛局による住宅防音工事助成
防衛省(東北防衛局)は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づき、演習場周辺の騒音影響度が高いエリアを第1種区域等に指定しています。指定区域内に所在する住宅に対しては、以下の助成制度が運用されています。
- 住宅防音工事の補助:二重サッシや防音ドアの設置、換気扇・空調設備の改修費用に対する国庫補助
- 移転補償事業:極めて騒音や危険度の高い区域(第2種・第3種区域)における建物移転の補償および土地の買い入れ
- 共聴アンテナ等の整備:演習場内の地形や施設によって発生する電波障害の解消支援
自治体への交付金と地域振興
演習場を抱える色麻町や大衡村には、特定防衛施設周辺整備調整交付金(いわゆる防衛交付金)が交付されています。これらの財源は、公立学校の施設整備、道路・水道などの社会基盤整備、消防車両の配備、地域医療の充実など、地域住民の福祉向上に直結するインフラ投資に充当されています。
しかし、防衛交付金による恩恵を享受しつつも、「静かな環境で暮らしたい」という住民感情との間には根深い葛藤が存在します。特に近年、リモートワークや子育て世帯の転入に伴い、演習場の歴史的背景をあまり認識せずに移住してきた層からの騒音苦情が増加傾向にあり、行政による丁寧な事前情報提供が課題となっています。