「同じ地域に住んでいるのに、なぜプロパンガスばかりがここまで高いのか」という不満の裏には、業界固有の3つの構造的要因が潜んでいます。
第1に、個別配送と保安点検にかかる人件費・物流コストの存在です。都市ガスが地下配管で自動供給されるのに対し、プロパンガスは充填所からトラックで各家庭へシリンダーを運搬し、定期的な点検や容器交換を人手で行わなければなりません。広島県特有の島しょ部や山間地、高台の住宅街などでは配送負荷が大きく、それらの経費が基本料金や従量料金に織り込まれています。
第2に、集合住宅(賃貸アパート・マンション)における「設備費用のガス代上乗せ」という商慣行です。アパート建築時、ガス会社が給湯器やエアコン、モニター付きインターホンなどの設備をオーナーへ無償提供(無償貸与)し、その導入コストを「毎月の入居者のガス料金」に長期分割で上乗せして回収するビジネスモデルが長年続いてきました。経済産業省による取引適正化ガイドラインの強化が進んでいるものの、過去に締結された契約が残る既存物件では、依然として高い単価が維持されているケースが目立ちます。
第3に、自由料金制度による価格の不透明性と値上げの是正遅れです。輸入LPガス価格や為替レートが高騰した際には迅速に値上げが行われる一方、原料価格が下落局面に入っても値下げの反映が緩慢な販売事業者が一部に存在します。利用者が料金表を能動的にチェックしない限り、高値のまま固定化してしまうリスクを抱えています。