急逝により全50公演が幻となったロンドン公演「THIS IS IT」は、マイケルにとって12年ぶりとなる本格的なツアーであり、キャリアの集大成と巨額負債の完済を懸けた大勝負でした。
逝去の前日である2009年6月24日深夜まで、ステイプルズ・センター(現クリプト・ドットコム・アリーナ)で行われていたリハーサルでは、『Thriller』や『Earth Song』をエネルギッシュに歌い踊る姿が目撃されていました。その模様は後に記録映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』として全世界で公開され、日本国内だけでも興行収入50億円を超える社会現象となりました。
しかし、当時の関係者の手記や証言によると、舞台裏での消耗は限界に達していました。演出を手掛けたケニー・オルテガは、「彼の身体は非常に冷たく、衰弱し、時折現実感を失っているように見えた」と法廷で語っています。ファンの間でも「完璧なパフォーマンスを届けたいという過度な責任感が、睡眠薬への深刻な依存を加速させてしまったのではないか」という同情と無念の声が根強く残っています。