日本の伝統的な郷土菓子と誤解されがちですが、その歴史を紐解くと意外なルーツが見えてきます。穀類を圧力釜で膨らませる技術は、1901年にアメリカの植物学者アレクサンダー・ピアース・アンダーソン博士がミネソタ大学で行った実験中の事故から偶然発見されたものです。試験管に米を入れて加熱したところ破裂し、膨張した米が飛び散ったことが契機となりました。その後、1904年のセントルイス万国博覧会で「パフライス(Puffed Rice)」として巨大な大砲型の機械から実演披露され、全米で一大センセーションを巻き起こしました。
日本への導入は、大正時代後期から昭和初期にかけてのことです。北九州・小倉の発明家である吉村利吉氏らが機械を改良・製造し、全国へ普及させたと伝えられています。戦中・戦後の食糧難の時代には、配給されたわずかな米を大きく膨らませて嵩(かさ)を増し、満腹感を得るための貴重な加工手段としても重宝されました。
地域や時代によって呼び名が多彩であることも、このお菓子の文化的特徴です。全国の主な呼称には以下のようなバリエーションが存在します。
- ポン菓子(ポンポン菓子):西日本を中心に広く定着した、破裂音に由来する名称。
- ばくだん(爆弾あられ):関東や東北、東海地方などで親しまれる、衝撃音と破裂現象から名付けられた呼称。
- パットライス(パッカン):関西や四国地方で見られる、「パッと弾ける」様子や英語のPuffed Riceに由来する呼び名。
- ドン菓子(ドカン):九州の一部などで使われる、重低音の響きを表現した擬音語ベースの名称。