小林陵侑のキャリアにおける最大の転換点といえば、2026年4月に発表された土屋ホームの退社と、自身が主宰するプロスキージャンプチーム「チームROY(Team ROY)」の立ち上げです。長年所属し、スキージャンプ界のレジェンドである葛西紀明監督の指導を受けてきた実業団を離れる決断は、関係各所に大きな衝撃を与えました。
一部のネットコミュニティでは「指導陣との確執があったのではないか」という不穏な憶測も飛び交いましたが、これは明確な誤解です。独立の真の理由は、「世界で勝つための個人最適化された環境づくり」と「日本ウインタースポーツ界の構造改革」にありました。日本の実業団システムは手厚い福利厚生と安定を提供する一方で、海外遠征のスケジュール、パーソナルトレーナーやワックスマンの専属契約、スポンサーシップの獲得において企業側の制約を受けやすい側面があります。
小林陵侑は、自著や移籍時の公式会見で次のように語っています。ヨーロッパのトップ選手たちが個人のプロチームを組織し、最適なサポート体制で世界を転戦している姿を目の当たりにし、自分自身もより高度なマネジメント体制を構築する必要性を痛感したという点です。葛西監督もその志を深く理解し、「世界を牽引するジャンパーとして次のステージへ進め」と温かく送り出しました。師弟の絆は現在も揺るぎなく、独立後も合同練習や情報交換を行う良好な関係が続いています。