日本男子バレーが強い理由は、単なる身体能力の向上や一時的なスター選手の出現にとどまりません。戦術体系、メンタリティ、育成環境の3要素が緻密に噛み合った構造改革の賜物です。
第1の要因は、「高速立体パイプ攻撃(バックアタック)」の日常化です。かつての日本はサイド攻撃に依存し、相手の高いブロックに捕まる場面が目立ちました。しかし現在では、セッターからのトスが上がる前から複数のアタッカーが同時に助走に入る「シンクロ攻撃」が標準装備され、相手ブロッカーに的を絞らせない超高速バレーを具現化しています。
第2に、サーブ&ブロック・ディグの戦術的連動が挙げられます。時速120kmを超える強烈なジャンプサーブで相手のレセプション(サーブレシーブ)を崩し、計算されたコースへ相手アタックを誘導してリベロや後衛陣が拾い上げるシステムが完全に機能しています。失点を最小限に抑え、ラリーから確実にブレイク(連続得点)を奪う勝負強さが備わりました。
第3に、海外トップリーグでの日常的な武者修行です。主将の石川祐希をはじめ、欧州最高峰のイタリア・セリエAで世界トップの高さとパワーを日常的に体感してきた主力メンバーがチームの過半を占めるようになりました。相手の2m超のブロックに対する「リバウンドの取り方」「ブロックアウトの技術」を身体に染み込ませたことで、大舞台でも気後れしない強靭なメンタリティがチーム全体に波及しています。