旅行先で美しい星の砂を見つけると、「記念に少しだけ小瓶に詰めて持ち帰りたい」という心理が働きがちです。しかし、2026年現在、現地の自然海岸に堆積している星の砂を勝手に持ち帰る行為は、明確なルール違反・法令抵触となる可能性があります。
自然公園法と海岸法による採取規制
竹富島や西表島などの主要スポットは、環境省が管轄する「西表石垣国立公園」の特別地域や特別保護地区に指定されています。自然公園法第20条および第13条等の規定により、指定区域内における土石・鉱物・植物・動物等の採取は環境大臣の許可がない限り禁止されています。海岸法においても、海岸保全区域からの土砂の無断持ち出しは制限の対象です。
特に竹富島のカイジ浜には、「砂の持ち帰りは固くお断りします」という多言語の警告看板が設置されています。一人ひとりが「指先に付いた数粒だけなら」と持ち去る行為が年間数十万人規模で積み重なれば、砂浜の星砂層はあっという間に枯渇してしまいます。現に、過去数十年の観光利用によって主要ビーチの星砂比率は著しく低下したと地元研究機関から報告されています。
お土産店で販売されている星の砂の正体
「ビーチで持ち帰りが禁止されているのに、なぜ空港やお土産屋では小瓶に入った星の砂が数百円で大量に売られているのか?」という疑問が生じます。販売されている製品の多くは以下の正規ルートで流通しています。
- 指定採取海域での計画採取:自然保護区外の特定海域や海外(フィリピン等の熱帯海域)から、商業流通用の許可を得て一括採取・輸入されたもの。
- 砂利・資材採取の副産物:土木・浚渫(しゅんせつ)事業等の過程で適法に採取・選別されたもの。
- 適正な選別加工:不純物を取り除き、紫外線殺菌や洗浄を経て製品化された安全な工芸品。
お土産店での価格相場は、小瓶入りで300円〜800円前後、キーホルダーやアクセサリー加工品で500円〜1,500円程度と手頃です。現地の砂浜では「手のひらに乗せて観察し、写真を撮って元の海へ戻す」ことを徹底し、手元に残したい場合は正規のお土産品を購入するのが、自然を守る大人の旅のエチケットです。