ギタリストの間で総称される「歪み系エフェクター」は、主にディストーション、オーバードライブ、ファズの3系統に大別されます。この3者の違いを感覚的な言葉だけで捉えようとすると、音作りの現場で必ず迷走します。最大の違いは「入力されたギターの電気信号を、どの程度、どのように変形(クリッピング)させているか」という点にあります。
ディストーションの最大の特徴は、アンプのボリュームを極限まで上げたような状態をシミュレートするのではなく、ペダル内部で波形の上下を大胆に切り落として直線化する点です。これによって、ピッキングの強弱に過度には左右されない均一で鋭利な歪みと、どこまでも伸びるロングサステインが生まれます。コードをかき鳴らせば壁のような音圧が迫り、単音ソロを弾けば滑らかで芯のあるリードトーンを奏でられます。
これに対し、オーバードライブは真空管アンプが自然に飽和したようなマイルドな歪みを目指した設計です。ピッキングのニュアンスがダイレクトに反映され、弱く弾けば原音に近いクランチサウンド、強く弾けば粘りのある歪みが得られます。一方のファズは、回路の限界を超えてトランジスタに過大入力を送り込み、波形を四角い矩形波(くけいは)に押しつぶすことで、ブチブチとした毛羽立ち感や野性的な轟音を作り出します。