可睡ゆりの園における体験価値は、視覚による花畑の鑑賞にとどまりません。来園者の約7割が立ち寄る園内のお食事処で不動の人気を誇るのが、「ゆり根の天ぷら」です。
食用ゆり根は通常、栽培に数年の歳月を要する高級食材ですが、園内の食事処では注文を受けてから揚げたての熱々を提供しています。薄い衣をサクッと噛み砕くと、中から現れるのは栗やサツマイモにも似たほのかな甘みと、ホクホクとした滑らかな舌触り。塩を軽く振って口に運ぶと、素材本来の豊かな風味が広がります。混雑日の正午前後には注文待ちの長蛇の列が発生し、食材の仕込み分が完売することもあるため、食事は11時前の早めの時間帯に済ませるのが現地を満喫する鉄則です。
さらに見逃せないのが、園内奥の斜面に広がる「あじさい展」の存在です。百合の華やかな色彩とは対照的に、鬱蒼とした木漏れ日の中に咲く青や紫の紫陽花は、落ち着いた日本の梅雨の風情を体現しています。百合と紫陽花という、本来異なる環境を好む二大花木が同じ敷地内で共鳴し合う景色は、静岡県内でも類を見ない贅沢な構図を作り出しています。