読者の多くが最も直面している疑問が、「この上半身の厚みは太ったからなのか、それとも骨格ストレートや肋骨のせいなのか」という点です。SNSやネット上では「胸板が厚い=骨格ストレート」という短絡的な言説が散見されますが、これは明確な誤解です。鳩胸と骨格ストレート、さらには肋骨の開き(リブフレア)は、身体のどのパーツが前に出ているかという構造上のメカニズムが全く異なります。
まず、骨格ストレートと鳩胸の違いについて整理します。骨格ストレートは、筋肉に弾力があり、身体全体にメリハリと厚みがあるタイプを指します。胸元に立体感がある点は共通していますが、骨格ストレートの厚みは「筋肉やバスト組織のハリ」によるものであり、デコルテのトップ位置が高く、丸みを帯びた円筒形に近い立体感です。これに対し、鳩胸は「胸骨自体の突出」であるため、触れると骨の硬さがダイレクトに伝わり、筋肉の有無に関係なく骨組みそのものが前へ張り出しています。
次に注意したいのが、鳩胸と肋骨の出っ張りの見分け方です。みぞおち周辺が膨らんで見える場合、それは胸骨ではなく「肋骨の下部(第7〜第10肋骨)が外側に開いている状態(リブフレア)」である可能性が高くなります。肋骨の開きは、長時間のデスクワークや反り腰、浅い胸式呼吸によって横隔膜が機能低下し、肋骨がパカッと開いたまま固まることで生じます。突出しているのが「バストトップより上の胸骨」なら鳩胸、「アンダーバストからみぞおち周辺」なら肋骨の開きと見分けることができます。
さらに臨床的な観点から鑑別が必要なのが、漏斗胸と鳩胸の違いです。漏斗胸(ろうときょう)は鳩胸の対極に位置する状態で、胸骨が内側へ向かって陥没する疾患です。一見すると正反対ですが、漏斗胸によって中央が凹んでいるために、かえってその両脇の肋骨が前に突き出して見え、自己診断で「鳩胸かもしれない」と誤認する女性もいます。以下の比較表で、それぞれの身体的特徴を客観的に比較してみましょう。