賃貸住宅での壁掛けテレビには、製品レビューでは語られにくい構造上の落とし穴が潜んでいます。施工後に「こんなはずではなかった」と後悔するユーザーの典型例を整理します。
盲点1:石膏ボード壁でも「GL工法」はホッチキスが刺さらない
「石膏ボードの壁ならどこでもホッチキス留めができる」というのは重大な誤解です。コンクリート構造のマンション外壁側や戸境壁では、コンクリート壁に接着剤(GLボンド)をダンゴ状に塗り、石膏ボードを直接押し付けて貼り付ける「GL工法」が多く採用されています。
このGL工法が施工されている壁は、石膏ボードのすぐ後ろ数ミリに強固なコンクリート層が存在するため、ホッチキスの針が途中でコンクリートに干渉して奥まで刺さりません。施工前には必ずマチ針やピンチェッカーを刺してみて、針が奥までスムーズに貫通するか(下地が中空になっているか)を物理的に確認しなければなりません。
盲点2:配線隠蔽の失敗による「生活感の残存」
住宅展示場やショールームの壁掛けテレビが美しいのは、電源コードやHDMIケーブルがすべて壁体内に隠蔽されているからです。しかし、賃貸物件では壁の内側にケーブルを通すための開口工事はできません。
結果として、テレビの底面から電源コード、アンテナ線、レコーダーやゲーム機のHDMIケーブルが何本も黒い束となって垂れ下がり、「壁掛けにしたのに逆に見た目が散らかってしまった」という不満につながります。配線を目立たせないためには、壁紙の色に近似させた配線カバー(モール)の併用、あるいは壁寄せテレビスタンドの背面にケーブルを収納する工夫が必須となります。