油が視覚的に透明になったからといって、永遠に使い続けられるわけではありません。料理愛好家が最も頭を悩ませる使用済み揚げ油の再利用は何回まで可能かという疑問に対し、油脂メーカーや消費者庁の検証データを総合すると、一般的な家庭環境における再利用の限界値は「3回から4回」、日数にして「約2〜3週間以内」が衛生上の安全基準とされています。
ここで極めて重要なのは、揚げた食材の種類によって油の寿命が激変する点です。油を長持ちさせるためには、1回目に野菜の素揚げや天ぷら、2回目にコロッケや白身魚のフライ、3回目に味付け肉の唐揚げ、そして最終段階で香りの強い魚介類やチキン南蛮を揚げて廃棄するという「揚げる順番のローテーション」を守る必要があります。動物性油脂やタレに含まれる糖分・アミノ酸は、油の劣化スピードを一気に2倍以上へ加速させるためです。
見た目だけでなく、揚げ油の酸化と劣化を見分ける決定的な理由を知るには、五感を使った4つの危険シグナルを把握しておかねばなりません。
第一に「色」です。透明度が落ちて濃い褐色に変色している場合は、酸化生成物が蓄積しています。第二に「粘度」。常温に冷ました際、サラサラ感が失われてドロッとした重みを感じる状態は、重合反応によって高分子化合物が形成されている証拠です。第三に「泡立ち」。食材を投入した際、発生した泡が消えずに鍋一面を覆い尽くす、いわゆる「カニ泡」が持続する場合は即座に破棄すべきレベルに達しています。そして第四が「発煙温度の低下」です。新鮮な油の発煙点は200℃以上ですが、劣化した油は170〜180℃前後の調理温度でも青白い煙を立ち上らせ、鼻を突く刺激臭を放ちます。