近年の社内チャットツール(SlackやTeamsなど)の急速な普及に伴い、文字によるコミュニケーションの速度が上がった結果、敬語の誤用による摩擦が表面化しています。人材育成企業が実施した職場コミュニケーション実態調査(2025〜2026年集計)やSNSの相談事例を分析すると、言葉のニュアンスに対する世代間のギャップが浮き彫りになります。
大手IT企業に勤務する20代の男性社員の手記によると、以下のようなトラブルが実際に報告されています。
「役員が全社チャットで共有した大型事業提携のプレスリリースに対し、称賛の意を込めて『〇〇役員の突破力には脱帽いたしました!』と即座に返信したところ、直属の上司から個別のダイレクトメッセージで呼び出されました。『気持ちは分かるが、役員の実力を部下が値踏みするような言葉は使うな』と注意を受け、自らの言葉遣いの軽率さに冷や汗をかきました」(通信系IT企業・企画職手記より)
ネット上の質問コミュニティや知恵袋でも、「取引先の社長から届いた提案書に『脱帽しました』とメールしたら失注した」「後輩からチャットで『先輩の資料作成スピードには脱帽です』と言われ、なぜか小馬鹿にされたように感じた」といった生々しい声が散見されます。
脱帽という言葉には、発話者が「自分の基準で測定した結果」という前提が暗黙のうちに含まれるため、受け手側の自己認識や役職によっては、「上から目線で評価された」「皮肉めいたお世辞に聞こえる」という感情的な摩擦を引き起こしやすいのです。