肉体を喰わせる。その一点に勝機を見出したしのぶの作戦は、戦術と呼ぶにはあまりに悲壮で、自爆と呼ぶにはあまりに冷徹だった。
藤の花の毒を自らの身体に巡らせ、摂取し続けること一年以上。体重37キロの肉体すべてを致死量の数百倍の猛毒に染め上げたその執念は、鬼殺隊の中でも異様としか言いようがない。力で劣る人間が、神のごとき不死身の怪物を倒すために選んだ唯一の道。それは自らを「毒の餌」として差し出すことだった。
童磨の腕の中で骨を砕かれ、取り込まれていくしのぶの最期を、映画は容赦ない克明さで描写した。悲鳴を飲み込む劇場内。だが、その結末は敗北ではなかった。自らの命を完璧な罠として機能させ、後に続くカナヲと伊之助に勝利のバトンを託す。彼女の冷徹な知略は、鬼の傲慢な捕食本能を完璧に逆手に取っていた。