横浜アリーナで最も多用されるレイアウトは、北側にメインステージを組む「パターンA」です。この基本配置において、アリーナD席はメインステージの「真正面(対面)」に位置します。ネット上で「遠すぎて見えない」と書き込まれる最大の要因は、この直線距離にあります。
メインステージ最前列からアリーナDブロック最前列までの直線距離はおよそ70メートルから90メートルに達します。これは25メートルプール約3面分を優に超える距離感であり、肉眼だけでメインステージ上に立つ演者の表情や微細な指先の動き、衣装の細部まで識別することは物理的に極めて困難です。肉眼で見える演者のサイズ感は、大人の親指の爪程度、いわゆる「米粒サイズ」と表現される距離感に収まります。
しかし、この物理的距離がそのまま「鑑賞体験の悪さ」に直結するわけではありません。真正面というポジションは、音響面においてメインスピーカーからの音像定位が最も美しく揃うスポットであり、巨大スクリーンの視認性も斜めからの角度がつかないため抜群です。さらに、会場全体を使ったレーザー照射やプロジェクションマッピング、客席全体のペンライトが一斉に波打つ光景を、視界の中心で左右対称の完全なシンメトリーとして捉えられるのは、アリーナD席ならではの特権です。