初めて上川層雲峡店を目にした旅行者の多くは、見慣れた鮮烈な看板とのギャップに目を奪われます。白地に映えるオレンジ・緑・赤のコーポレートカラーは完全に鳴りを潜め、外壁やファサード看板、ポール看板に至るまですべてセピア調のダークブラウンと落ち着いたトーンで統一されています。
この特異なカラーリングが採用されている最大の理由は、同店が位置する場所が大雪山国立公園の指定区域内に該当するためです。環境省が管轄する「自然公園法」に基づき、国立公園内の特別地域や普通地域では建築物の新築・改築、看板(屋外広告物)の色彩や面積に対して極めて厳格な基準が課せられています。派手な原色は自然界の景観を著しく損ねる視覚的ノイズとみなされるため、彩度や明度を一定水準以下に抑えることが義務付けられているのです。
北海道庁および地元の上川町が策定している景観誘導ガイドラインにおいても、自然風景地と調和する「低彩度・中明度の色彩基準(マンセル値による制限)」が明確に定められています。全国的には古都の景観を守る京都市内や、日光・那須などのリゾート地で見られる「景観配慮型店舗」ですが、北海道内においてここまで徹底された茶色いセブン-イレブンは極めて希少であり、大自然と共生するシンボルとして定着しています。