ネット上の掲示板や知恵袋などで長年拡散されているのが、「山寺宏一はアンパンマンでたくさんの役を演じすぎてギネス世界記録に認定された」という言説です。この情報の真偽はどうなのでしょうか。
事実関係を精査すると、この言説は「2つの異なる事実がネット上で混同されて生まれた誤解」であることが判明しています。
実際にギネス世界記録に公式認定されているのは、山寺宏一氏個人ではなく、アニメ『それいけ!アンパンマン』という作品そのものです。2009年6月24日、放送開始から2008年3月までのテレビシリーズおよび映画に登場したキャラクター数が「1,768体」に達したことで、「世界で最もキャラクター数の多いアニメーション・シリーズ(Most characters in an animation franchise)」としてギネス認定を受けました(その後も数は増え続け、現在も記録を更新中です)。
その際、メディア各社が「ギネス認定された膨大なキャラクターたちを、わずかな声優陣が兼任して支えている」「中でも山寺宏一は1人で何十役も担当している」と報じたため、いつしか読者の記憶の中で主客が逆転し、「山寺宏一がギネス記録保持者である」という都市伝説へ変容してしまったのが真相です。
公式なギネスホルダーは作品自体であるものの、「ギネス記録を樹立した1,768体以上のキャラクター群の中で、最も多種多様なキャラクターに命を吹き込み、記録達成に決定的な貢献を果たした個人」が山寺宏一氏であることは揺るぎない事実です。事実上の“ギネス級の功労者”と称される背景には、こうした文脈が存在します。