新境地を開拓した一作として外せないのが、テレビ朝日系で放送された『ハヤブサ消防団』だ。ヒットメーカー池井戸潤の異色小説をドラマ化した本作で、中村倫也は山あいの集落に移住したスランプ気味のミステリー作家・三馬太郎を演じた。
静かな農村で次々と巻き起こる不穏な事件。本格ミステリードラマの骨格を持ちつつ、怪しい新興宗教や村の暗部が絡み合う重厚なサスペンスドラマとして視聴者を画面に釘付けにした。
巻き込まれ型の主人公でありながら、真相に近づくにつれて研ぎ澄まされていく観察眼。池井戸潤作品特有の泥臭くも熱い人間模様のなかで、クールさと情熱を併せ持つ独特の立ち振る舞いが光った。