井脇氏を語る上で欠かせないのが、「少年の船」を実際に体験した元乗船者たちの生々しい証言です。ネット掲示板やSNS、知恵袋に投稿された数多くの体験談を検証すると、評価は真っ二つに割れています。
肯定的な声としては、「あの過酷な集団生活のおかげで、不登校や引きこもりから脱出できた」「井脇先生に甲板で一対一で怒鳴られ、抱きしめられた時に流した涙は今も人生の支柱になっている」という深い感謝の念が数多く見受けられます。携帯電話も持ち込めない洋上という極限環境で、毎朝のスクワットや整列点呼、規則正しい生活を叩き込まれたことが、昭和から平成初期の若者にとって強力な荒療治として機能していた側面は否定できません。
その一方で、「船酔いで苦しんでいるのに容赦なくデッキに出された」「連帯責任の軍隊調訓練に恐怖しか感じなかった」「指導員による体罰すれすれの指導があり、トラウマになった」という厳しい告発も存在します。現代のコンプライアンス基準や人権意識に照らし合わせれば、明らかな逸脱とみなされる指導手法が含まれていたことは事実であり、彼女の豪快なキャラクターは「救世主」と「暴走する指導者」という極端な二面性を帯びていたことが現場のリアルから浮かび上がります。