井端弘和氏の選手キャリアを語る上で欠かせないのが、中日ドラゴンズ時代に二塁手の荒木雅博氏と形成した「アライバコンビ」です。落合博満監督率いる中日黄金期において、二遊間の守備範囲と阿吽の呼吸によるトス・中継プレーは芸術の域に達し、歴代最高の二遊間コンビとして球史に燦然と輝いています。
ゴールデングラブ賞を7度受賞したショートの守備力は、打球予測の一歩目、正確無比な捕球姿勢、そして強肩に頼らず体の軸を使って素早く送球する技術に裏打ちされていました。派手なファインプレーに見せない「当たり前の打球を完璧にアウトにする」職人技こそが井端氏の代名詞です。
また、国際舞台での勝負強さも語り草となっています。特に2013年第3回WBC東京ラウンド・台湾戦で見せた9回2死二塁からの起死回生の同点適時打は、日本野球史に残る屈指のハイライトです。2ストライクと追い込まれながらも、相手守備のシフトと投手の配球を冷静に読み切り、センター前へ弾き返した一打は、井端氏の真骨頂である「極限状態での思考力」を象徴するプレーでした。
中日での16年間を経て移籍した巨人でも、2014年のセ・リーグ連覇に貢献。通算1912安打という記録は、2000本安打の大台こそ目前で逃したものの、常にチームプレーと進塁打、ファウルで粘る献身的な打撃を優先し続けた結果であり、数字以上の重みを持っています。