佐藤栄作の真相|歴代最長政権の秘密と沖縄返還の光と影

佐藤栄作の真相|歴代最長政権の秘密と沖縄返還の光と影

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佐藤栄作が首相の座にあった1964年11月から1972年7月までの7年8カ月は、日本が名実ともに世界第2位の経済大国へと駆け上がった高度経済成長の絶頂期と重なります。しかし、長期政権を支えたのは好景気という追い風だけではありませんでした。

最大の武器は、卓越した人間観察力と情報網に裏打ちされた「人事の佐藤」と呼ばれる組織掌握術でした。東京帝国大学法学部を卒業後、鉄道省の官僚としてキャリアを積んだ佐藤は、吉田茂に見出されて政界へ転身した「吉田学校」の筆頭格です。官僚機構の力学を熟知していた佐藤は、党内のライバルである池田勇人派、三木武夫派、福田赳夫派、田中角栄らを巧みに競わせ、誰も決定的な主導権を握れないよう絶妙な閣僚・党役員人事を配置し続けました。

政敵に対して決して正面から決定的な対立を仕掛けず、情勢が自らに傾くまでじっと好機を窺う姿勢は「待ちの佐藤」とも呼ばれました。派閥の領袖たちが権力闘争に疲弊していくなかで、佐藤は首相官邸の奥深くで情報を吸い上げ、最後の瞬間に決定打を下すスタイルを徹底したのです。 また、政権運営の精神的支柱となったのが、妻・佐藤寛子の存在でした。松岡洋右元外相の姪であり、佐藤の従姉妹でもあった寛子は、歯に衣着せぬ発言と強烈な勝負勘で知られ、政財界の要人をも圧倒するファーストレディとして夫の政治決断を陰で支え続けました。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。