清純派の殻を決定的に打ち破り、映画史にその名を刻んだのが2003年公開の映画池脇千鶴のジョゼと虎と魚たち(犬童一心監督)でした。足が不自由で、押入れの中で本を読み耽り、自らを「ジョゼ」と呼ぶ気難しくも愛おしい少女。この作品で彼女が見せた演技は、当時の映画界に激震をもたらしました。
大胆な濡れ場や胸を露わにするシーンが含まれていたことから、公開当初は一部のメディアで扇情的な取り上げ方をされることもありました。しかし、劇中で妻夫木聡演じる恒夫と交わす生々しく切ない情愛は、いやらしさとは対極にある「孤高の命の燃焼」として絶賛を浴びることになります。
SNSや映画レビューサイトにおける池脇千鶴のネットの評判と反応を検証すると、公開から20年以上が経過した現在も称賛の声は衰えを知りません。
「清純派アイドルだった池脇千鶴が、身体の芯からジョゼという人間に同化していた」「ただ脱いだのではない。あれは役の魂そのものの露出だった」といった熱狂的なレビューが並び、第25回ヨコハマ映画祭主演女優賞をはじめとする名だたる映画賞を獲得した事実が、その真価を雄弁に物語っています。彼女にとってグラビアやヌードは「自分を魅せる手段」ではなく、常に「役の人生を十全に生き切るための表現手段」に過ぎなかったことが窺えます。