2023年10月20日に東京地方裁判所で開かれた初公判において、検察側は「自責の念から逃れるための短絡的な犯行であり、両親の生命を断つ手助けをした刑事責任は極めて重い」として懲役3年を求刑しました。そして同年11月17日、東京地裁(里見佳代裁判官)は懲役3年・執行猶予5年の判決を言い渡しました。控訴期間内に弁護側・検察側の双方が控訴しなかったため、この判決はそのまま確定しています。
裁判所が実刑ではなく執行猶予を選択した最大の判決理由は、以下の3点に集約されます。
- 両親側の真意に基づく明確な同意:両親が猿之助の苦悩を察し、自ら死を受け入れて睡眠薬を服用した経緯が認められ、無理心中ではなく「自殺幇助」としての要件が法的に確認された点。
- 深い悔悟と社会的制裁:事件後、本人が両親を死に至らしめた罪の重さに日々苛まれ、真摯に反省を続けていること。また、名声の失墜や巨額の損害賠償といった有形無形の過酷な制裁を既に受けている点。
- 一門や関係者による支援環境:公判中、歌舞伎関係者や親族から本人の更生を支える旨の嘆願書が提出され、再犯の恐れがないと判断された点。
しかし、執行猶予が認められたとはいえ「5年」という猶予期間は、日本の刑法が定める執行猶予の最長上限です。これは司法が「実刑は免除するが、尊い二つの生命が失われた結果は限りなく重く、長期間にわたって厳格な反省を求める」という強い戒めを込めた証拠にほかなりません。