1971年10月から1983年9月まで全619回にわたって放送された『スター誕生!』は、日本テレビのプロデューサー・井原高忠氏の革新的な構想と、作詞家・阿久悠氏の骨太なプロデュース思想によって産声を上げました。当時のテレビ界において、新人歌手の発掘は芸能事務所やレコード会社の密室で行われるのが通例でしたが、同番組はそのプロセスをすべて白日の下に晒す「公開オーディション形式」を採用したのです。
番組の最高視聴率は28.1%(ビデオリサーチ関東地区調べ)を記録し、日曜昼のお茶の間を独占しました。予選を勝ち抜いた挑戦者がステージで歌唱し、審査員による厳正な点数審査を経て、3か月に一度開催される「決戦大会」へと駒を進めるシステムでした。そこで芸能事務所やレコード会社のスカウトマンが一斉にプラカードを掲げる緊迫の瞬間は、日本全国の視聴者を釘付けにしました。
スター誕生のオーディション裏側では、単なる歌唱力の優劣だけでなく「時代が求める新たな人間像」が厳しく選別されていました。演出を手掛けた制作陣や審査員団は、出来上がった既存の歌手のコピーを徹底して排除し、原石が放つ生のエネルギーを何よりも重視したと関係者は証言しています。