ボー・ピープというキャラクターを語るうえで絶対に外せないのが、彼女の肉体的な素材が磁器(ポーセリン)・陶器製であるという事実です。プラスチック製のバズや布と綿でできたウッディとは根本的に異なり、わずかな衝撃でヒビが入り、落とせば粉々に砕け散ってしまうリスクを常に背負っています。
実は制作初期の段階で、スタッフ陣は『トイ・ストーリー3』にボーを登場させる案も検討していました。しかし、舞台となったサニーサイド保育園の「イモムシ組」で乱暴な幼児たちに投げ飛ばされれば、陶器製の彼女は文字通り即座に破損してしまいます。物語の展開上、どうしても彼女を連れて行くわけにはいかなかったという、素材設定に起因する制作チームのリアルな判断もありました。
『4』において、彼女の右腕には白い包帯とテーピングがしっかりと巻き付けられています。これは激しい旅の途中で腕が折れてしまった証拠であり、彼女はそれを恥じるどころか、自ら接着剤とテープで補修し、何事もなかったかのように動かしています。「身体は誰よりも脆い陶器でありながら、心は誰よりも強靭である」というこの鮮やかなコントラストこそが、ボー・ピープというヒロインの持つ唯一無二の魅力です。相棒である3頭の陶器の羊たち(ビリー、ゴート、グラフ)を従え、限界を自ら決めないその姿勢は、観る者に強烈な勇気を与えます。